• Faculty of Arts / Art Award

最新のオールドファッション / 高見 真由

最新のオールドファッション
高見 真由(たかみ まゆ)
美術学科 彫刻専攻
H740×D630×W600mm 30kg
ミクストメディア
(石粉粘土、石、木、蝋、スニーカー、セメント、アクリル、ペンキ)

彫刻専攻では、彫刻創作の基礎を学ぶカリキュラムの一つとして、学部4年間を通して人体塑造を行なっている。首像から始まり、胸像、半身像、全身像と学年を経るにしたがって、より複雑な人体の構造を観察し水粘土で表現するものである。
 人体各部の立体的比例、骨格や筋肉などの内部構造とその関係性、また様々な質感の違いを水粘土という一つの素材で表現する実習は、その後に続く木や石、金属などで行う実材彫刻の基礎としての造形力・表現力を高める手段となる。
 卒業制作では、塑造全身像、実材小作品、実材大作品の各1点が求められるが、これまで塑造作品は学部での基礎教育のための習作的要素が強かった。しかしこの度の高見の卒業制作「最新のオールドファッション」は、塑造的手法を用いながら、それをさらに発展させ作品化している。本人の作品解説にもあるように、「日常にある様々な素材を用い、これらを不規則に組み合わせる事により生命感を生じさせ、意思や人格を感じさせる作品にする。」とあり、そのことに積極的に挑戦し、未消化な表現も見受けられるものの、作者の強い意志と個性を感じさせる魅力的な作品となっている。
  これまで彫刻分野で伝統的に使用されてきた素材はもとより、新たな素材にも積極的に関わりながら彫刻表現の可能性を広げる創作研究は、今後の彫刻専攻ではますます必要となってくる。このような教育方法の具体的参考となる作品である。