• Faculty of Arts / Art Award

自在漆置物‐高脚蟹‐ / 門前 佑奈

自在漆置物‐高脚蟹‐
門前 佑奈 (もんぜん ゆうな)
デザイン工芸学科 漆造形
300×200×1000mm
5Kg
漆芸・乾漆(漆・麻布・木・和紙・箔)

本作は海生甲殻類である高脚蟹をモデルにした自在漆置物である。一般的に金属工芸において知られている「自在置物」という造形表現を、漆でも再現しようと試みたものである。既に3年次から制作に取組み、漆の技術を用いた自在置物を独自の解釈で完成させている。主体となる甲羅の部分は「乾漆」という漆の伝統的な技法を用いている。そして全体に見られる蟹のまだら模様は、漆を何度も塗り重ねて研ぎ出す変り塗りで表現している。更に点在する複雑な無数のトゲには「鉄錆絵」という技法を用いる事で、複雑な造形方法が容易となり、作品に存在感を与えている。また「自在漆置物」として重要となる脚の部分は、木材をパーツごとに削り、本物と同じ動きが可能になるまで制作した後、漆で加飾を施している。一本の脚だけでも5つのパーツに分けられており、関節の接続は異なる木材にて強度を変えるなど適材適所を考慮した作者独自の技法で制作されている。創造性、表現方法、技術などが特に優れた秀作である。