• Faculty of Arts / Art Award

2270027_吉岡日香里_連紐体 紡ぎ仮名_02s

連紐体 紡ぎ仮名
吉岡 日香里 YOSHIOKA Hikari
造形芸術専攻造形計画視覚造形研究室
Glyphsを使用したOpenTypeフォント制作

5世紀頃、中国から表意文字としての漢字が我国に伝わった。日本人は自国の発音を漢字にあてはめて表音文字化した万葉仮名という独自の文字文化を生み出した。やがて字画の多い漢字の部位だけをアレンジしたカタカナと漢字の造形を省略化したひらがなが作られ、我国は表意文字と二つの表音文字が混じり合う世界で最も複雑な文字文化を持つ。特に古来、我国の情感や美意識を表現するにはカタカナよりも造形的に優美な連綿体のひらがなが使われることが多かったが、近代になり機械化された活版印刷では、毛筆による連綿体の生成は大量生産を目的とする鋳造金属活字のピッチには適合しにくい。一部(平野活版製作所)では試みられたが連綿する文字ではなく普及はしなかったようだ。デジタル化が進んだ現代、改めて仮名文字の開発(モリサワのみちくさ等)がなされるようになった。当研究室でデジタルでの視覚造形を学んだ吉岡日香里は仮名文字に深い関心を持ち、その由来や構造を研究、独自の連綿する書体を開発しグラフィックに反映させることで、情感が伝わるデザインに結びつけようとした。個展では連綿の可読性の限界を測るアンケートを実施した。文字が繋がる造形を紐を用いて検証し、ここから連紐体(れんちゅうたい)と名付けた。そして個々の文字の大きさ、繋がる構造や法則は書の専門家である谷口教授(安田女子大学文学部書道学科)からも教えを受けた。さらに(下瀬奨学金を得て)和文書体開発で実績がある松本タイポグラフィ研究会(長野県松本市)に何度も通い、オリジナル書体のデジタルフォント化を学んだ。Open Type機能のシステム化には東京工科大学デザイン学部の舟山貴士助教から協力も得た。このように真摯に取材や修練を重ね、オリジナリティがある仮名フォントのデザインを完成、パソコンに実装し実用可能なシステムまで構築した。そして修了制作展示では、体験ブースも含み視覚的にも優れた演出を設計した。