• Faculty of Arts / Art Award

Fragment of the moon
西岡 茉祐
日本画専攻
F150号
土佐麻紙、水干絵具、岩絵具、墨、銅箔、銀箔、金泥
紙本彩色

「Fragment of the moon」は作者が呉市にある大崎下島を散策し、そこで目にした色鮮やかなオレンジの実に惹かれ着想した作品である。オレンジの実のなる樹木を中心に複数の裸婦を配し、それぞれが木の下でくつろいでいる。樹木は腰掛ける女性の髪の毛を絡め、現実世界から空想の世界へと観るものを導く。月の欠片と読める題名はオレンジの実をそれとダブらせたものなのか、静かな月夜の一場面を切り取ったものなのかは判然としないが、木の葉と果実で満たされた画面上部と、やや印象が薄い人物表現の画面構成から、女性達を包むゆったりとした時間の流れを際立たせることに成功している。対象への観察と丁寧な描写がこの作品に緊張感を与え、想像を掻き立てる優れた作品へと押し上げている。作者の実力をいかんなく発揮した秀作である。