宮島ろくろ 紅葉シリーズ・ブランディング
下村 祐介
芸術学研究科造形芸術専攻造形計画研究 漆造形
・楓拭漆銘々皿 -紅葉- 直径121mm (7点)
・さらもみじ・かしきりもみじ 皿:直径121mm 菓子切り:110mm (各4点)
・color of Momiji 動画作品 2分20秒
・ 広島市立大学記念品 パッケージ 桐箱 H35 x W325 x D175 mm
イタヤカエデ・色漆
下村祐介は作品学部3年次より宮島の伝統工芸である宮島細工(宮島ろくろ)の技術と文化に魅了され現在まで一貫した研究行ってきた。作品「宮島ろくろ 紅葉シリーズ・ブランディング」は宮島ろくろの伝統的な表現と技術を継承しながら、現代の生活にあった製品展開と知名度の拡大を目的としたブランディングのための研究成果を含めた作品4点の構成となっている。今回提出された作品の中でも「楓拭漆銘々皿 -紅葉- 」は宮島ろくろの特徴である「木地見せ」に焦点をあて、春から秋にかけた紅葉の色の移り変わりを7点からなる銘々皿に展開したものである。実際の宮島の景色を幾度となく現地観察しながら研究した表現は季節の移り変わりを体現できるかのような仕上がりであり、実践的なぼかし塗りの拭き漆表現の成果として高く評価できる。作品「さらもみじ・かしきりもみじ皿」や作品「広島市立大学記念品 パッケージ」は伝統工芸品や漆などに疎遠になっている若者や一般家庭を対象に現代の生活様式に合わせたデザインを想定したものである。これは木材入手から乾燥、加工、塗り、パッケージ制作に至るまで全て1人による一貫制作であるとともに、作品の完成度も市販の製品以上の仕上がりとして評価できる。さらに作品「color of Momiji」は2分程度の作品のプロセスや商品価値を交えたコンセプトムービーとして制作。映像のクオリティや音響効果も含め視覚造形やメディア造形の教員からも高い評価を得られた。以上のことから造形計画研究科では博士前期課程の2年間における制作態度や創造性、作品の展開など総合的に特に優れていると評価する。