• Faculty of Arts / Art Award

gleam
橘 あさ
デザイン工芸学科金属造形分野
プラチナコガネ:H20mm×W80mm×D45mm(サイズ可変)
チョウトンボ:H20mm×W120mm×D140mm(サイズ可変)
ハナカマキリ:H90mm×W40mm×D70mm(サイズ可変)
銀、七宝(チョウトンボのみ)

 本作品は3種類の昆虫モチーフからなる3点のジュエリーである。
 作者は、3年次より江戸時代から伝わる自在置物に興味を持ち、その構造を研究してきた。また、加飾に関しては七宝技法の研究にも取り組み、その二つの研究を軸に、ジュエリーやオブジェの制作をおこなってきた。この度の卒業制作では昆虫の動きを楽しむことができるという点にこだわり、独自性の高いジュエリーに昇華させた。
 プラチナコガネをモチーフとした作品は、頭、胸、脚、前翅、後翅が動く構造になっており、その鏡面状の外骨格の特徴を銀の鏡面仕上げで良く表現している。ブローチの構造も独自性が高い作りで、前足の一部がループ状になっており、そこに枝をイメージしたブローチピンを通すことで衣服に装着することができるようになっている。
 チョウトンボをモチーフにした作品は、自在置物的な動きの要素に加え、難易度の高い透胎七宝という技法を使いこなし、翅の透明感や淡い色合いなどを見事に表現している。チョカー部分は、チョウトンボの生息地に生い茂るアシの葉から形態をイメージしている。それに折りたたんだ脚の部分を通すことで胸元を飾るジュエリーである。
 ハナカマキリをモチーフとした作品は3点中最も可動部分が多い構造で、先行して制作した2作品で得た経験を活かし自在置物としても魅力ある作りとなっている。蘭の葉をモチーフとしたバングルの上で蘭の花に擬態する様が愛らしく表現されている。
 総じて、素材の特性を活かし、確かな技術力とアイデアで制作された非常に完成度の高いジュエリー作品となっている。