• Faculty of Arts / Art Award

BIRTH TREE
若林 洸奈 (わかばやし ひな)
造形芸術専攻造形計画視覚造形研究室
ペンダントトップサイズ各種
ポスター(1030×728)
パンフレット(297×210仕上げ)
銀(プロダクト)、銀箔、紙、他

若林の作品「BIRTH TREE」は、自然の造形物からディテールを写し取るという院生1年の時から取り組んでいるジュエリーデザインの系譜である。1年次では身近な岩から表面のテクスチャアを採取したが、今回はよりコンセプチュアルな作品群を目指し、そのブランド化を想定、複数のジュエリーデザインを開発した。さらにブランディングの為に不可欠なプロモーションデザインにも注力した。
自然が好きな作者が偶然出会った杉原梨江子著「古代ケルト聖なる樹の教え」で、森を中心に据えたケルト文化と、森と水の国である日本との共通点を見出し、今回のテーマに選んだ。テーマは古代ケルト人が崇拝した13の樹である。1年を13に区切ったケルトの暦にはそれぞれの樹木の精霊があてがわれている。その木肌を写し取り、古代ケルト人の息吹やアニミズム的な精神性を感じ取ってもらうのがブランドコンセプトの軸である。さらに誕生木から選べるという販促的な戦略も孕んでいる。
プロダクトとグラフィックの完成度、明確で魅力あるコンセプトワークは評価に値する。さらに若林は13種の木肌を写し取るためにわが国では自生していない樹種を求めて、県外の植物園にも交渉し赴いている。
以上、彼女の制作に対する情熱と真摯な姿勢を鑑みて、修了制作優秀賞として評価する。