文字についての試行
亀川 果野 (かめかわ かの)
造形芸術専攻 日本画A研究室
1,100mm×4,550mm
パネル2枚組
雲肌麻紙、岩絵具、胡粉、金属箔
紙本彩色
亀川果野の作品「文字についての試行」は、形や意味を変えながら在り続ける言葉と体感的な情報ツールである絵画の性質に興味を持ち、その関係性をテーマとして創作した作品である。4.5メートルに及ぶ和紙を貼ったパネルには、グレー調の画面に形態やストロークへ注力したひらがなを無数に混在させ、絵画表現の重要な要素として用いている。しかし文字自体に言葉の意味を持たせる意図はなく、大小幾重にも拡がる情報の景色として存在する様を描いている。作者も試行と言っているように博士前期課程で研究してきた結果たどり着いたテーマであり、完成度はまだ充分とは言えないものの、絵画と文字の関係性そのものを一つの絵として昇華さようとした行為は、独自の表現として試みた結果であり、その研究成果は高く評価出来る。日頃の研究や制作に向かう姿勢には目を見張るものがあり、研究内容の伸展とともに一層の躍進を期待させる。「文字についての試行」を独自の研究内容を湛えた秀作として高く評価する。