• Faculty of Arts / Art Award

Vision
沖本 晴香 (おきもと はるか)
デザイン工芸学科金属造形分野
H400×W450×D400 mm
純銀、925銀、キュービックジルコニア、スワロフスキーキュービックジルコニア、スモーキークォーツ、水晶、キュービックジルコニア:オレンジ、スワロフスキーキュービックジルコニア:ファンシーブラウン、キャラメル、オレンジ、アンバー、ホワイト
鍛金、彫金、石留め

モチーフとなっているハナミノカサゴは、大きな頭と長く伸びた鰭が特徴的で、背びれには強力な毒を秘めた魚である。よく見るとグロテスクな印象を与えるハナミノカサゴであるが、胴体には鮮やかで明快なストライプ模様を纏い、長く伸びた鰭と同調して、花が舞うがごとく優雅に泳ぐ美しい装いに沖本は、魅了された。
 その装いを表現するため、3年次より研究を重ねたジュエリーの石留め技法を用いて膨大な数の石留めに挑戦した。魚体は、26パーツに分け銀の板を鍛金技法にて成形し、胴体のストライプ部分は、石を留める台座どうしを、数珠状にロー付け技法で接合している。魚体には、約10,500個あまりのジルコニアダイヤが石留めされているが、重い印象になり過ぎないようにストライプ模様に沿って透かしを施し、軽い印象を与えている。
 明快なストライプをはじめ、微妙な彩りと光の反射率を意識しながら、4種類の石を効果的に配置する事で、ハナミノカサゴに対する作者独自の美の抽出に成功している。大変根気を要する約10,500個あまりの石留めは、魚の造形と相まって迫力ある装いを生み出し、作者の熱意を感じさせる秀作となっている。 また、これまでにない作風と石留めを多用した本作は、今後の教育研究の資料としても大変有益と認めた。