工具箱を持つ手
中島 伊吹 (なかしま いぶき)
美術学科油絵専攻
F50 号
パネル、油彩
画題は父親の手と、父親が日常的に仕事に使っている道具箱である。
身近なモチーフに表したいものを求めて、中島伊吹は以前より車に興味を持ち、パース画のような作品や、車のエンジンや部品などの無機質なものを描いてきた。
それらのモチーフと向き合う内に、今回の作品には作者の中で醸成されてきたであろう制作に向かう真摯な態度が窺える。
もともと表したいことが作者の中にはあったのかも知れないけれども、そうした制作意図を超えた内容が、観るものを引きつける内容が、この度の作品からはとてもよく感じられる。
素描に近い無彩色に近い画面ではあるが、油彩画としての絵具の美しさも認められ、卒業制作という課題を超えた作者の優れた資質すら感じ取ることができる。