為れないということを知っている・成りたいと思う
杉浦 沙恵子 (スギウラ サエコ)
美術学科 日本画専攻
H 1818 x W 2272 mm 150 号
岩絵の具、紙
本作は光を主題として室内を描いた秀作である。ステンドグラスに差し込む光の有無、スタンドライトの点灯、消灯。画面の大部分に置かれた自ら発光するような標本壜の数々、それらの中に二人の人物が配されているが、その人物もそれぞれ光と影で表現され対となっている。随所に対比を多用した作品であるが、熟考された構成と高い造形力で二極のコントラストのみ終始することなく一枚の情景描写として成立させている。色彩効果も光を主題として扱うために巧みに選択されており、情感に流されない緊張感のある表現として高く評価できる。