• Faculty of Arts / Art Award

浄瑠璃姫物語奈良絵 (ジョウルリヒメモノガタリナラエ)
三内 菜緒 (ミウチ ナオ)
芸術学研究科 絵画研究分野 日本画
H 2850 x W 430 mm
紙、墨、岩絵の具、金泥、薫銀泥

 修了模写作品「浄瑠璃姫物語奈良絵」は、牛若丸と浄瑠璃姫との逢瀬を題材とした「十二段草紙」の一場面を描いた作品である。大学資料館に収蔵されている原本を調査し、使用されていた彩色、技法を考察した。的確な上げ写しの後に胡粉、黄土、焼白緑を混ぜたものを下地に塗り、朱や群青、緑青を使って模写した作品である。
 特徴的な技法として、原本の経年変化によって変化した彩色を考慮し、それに合わせた色彩を再現する事である。日本画の絵具の特徴でもある、顔料を焼き、酸化させて微妙な色調の変化を巧みに再現した。同時に絵具の粒子と材質感も表現されている。それにより原本から感じる素朴で鮮やかな色彩が再現されている。また観察力と考察力、それを表現する確かな技術力がこの作品から感じる事ができる。
 作者の古典作品を研究した技術力と膨大な制作時間を費やした努力によって描かれた秀作である。