• Faculty of Arts / Art Award

漆坤 (シッコン)
吉田 真菜 (ヨシダ マナ)
芸術学研究科 造形計画研究分野 漆造形
65cm×55cm×3cm
漆 髹漆

 作品は漆の塗り重ね行為(161回)のみで制作されている。この漆の塗り重ねで表現する行為は学部3年のテーマ制作から始まり現在まで継続的に研究されてきた。修士の論文においても関連する表現として中国や日本の堆朱,彫漆などの伝統的な加飾表現の歴史を紐解きながら,独自の造形表現を確立している。具体的には、従来の伝統技法に見られる木や金属,陶器などの胎(素地)に塗り重ねて造形していた方法から、塗り重ねだけで造形表現した事である。更には色漆など顔料を一切添加しない黒目漆(透漆)だけであり、この2点を含めた表現方法は今迄に事例がなく、漆の素材、特性をうまく引き出しながら生命力のある強い作品に仕上げている。以上のことから博士前期課程の2年間における制作態度や創造性、作品の展開など総合的に特に優れていると評価し、修了制作優秀賞とした。