• Faculty of Arts / Art Award

寂 寥(セキリョウ)
中西 紗菜(ナカニシ サナ)
デザイン工芸学科 金属造形
H 1,300 × W 370 × D 630 ㎜
アルミ、鉄 鍛金・彫金技法

 本来鳥は、その外観から鳥自体の感情を把握する事は困難な生き物である。作者は、動物園で見かけた「ヘビ喰い鷲」のスマートで女性的なフォルムの美しさに引かれ、この鳥をモチーフに、女性の内なる感情を表現しようとした。鳥を女性的なフォルムに変換する事と合わせ、顔の表情に彩色を施すことで、より女性の憂いある表情を創出しようとした。若い女性のどことなくもの悲しい孤独な感情表現に繋げていっている。アルミの板を使い、鍛金・彫金の技法を用いて羽の持つ軽やかさと艶やかさ、色調を表現しながら、感情表現に繋げるフォルムを根気強く探り出している。また、この鳥の特徴である羽の黒色はアルミニウムを化学的に酸化させた酸化色を応用し、フォルムを壊さないよう慎重に調整している。足は、鉄材を使い、鍛造技法と熔接を使って力強く表現し強い生命感をも表現している。以上の様に卒業制作として、完成度・表現力ともに優秀な作品であると評価した。