• Faculty of Arts / Art Award

Light Of Information
木村 日咲子(キムラ ヒサコ)
デザイン工芸学科 視覚造形
W 1150 × H 820 × D 26.5 mm × 6
アルミ複合板/木製パネル6点
Photograph inkjet-print

 1年以上一つのテーマを徹底的に探究し提示された6点の画像作品からは、強い作家性と高いレベルでの表現力を感じられ、優れた作品と認める。
テーマは、「存在感があるのに意味をなくした交通標識を提示し、なぜそこに情報があるか気づいてもらう」
 昭和30年代頃からのモータリゼーションは、日本の自動車台数の急増に伴い、道路交通法に準じて交通規制を強化せざるをえず、道路標識の設置数は際限なく増え続け規制内容も見づらく判りにくい状態になっている。国土交通省が平成元年に設けた「標識Box」というサイトの中で道路を利用する人からの意見を基に改善を図っているが、機能せず危険な状態と言えるところもある。
こうした社会問題に注目し、調査と考察、64箇所7502の画像からクリエイターとして作品表現の昇華につなげている。
 木村は、2年ほど前から「日常の中の非日常」をテーマに画像による制作に取り組み、視覚伝達による情報の役割に興味を持ち、日常的に関る物をモチーフにし、情報を消すことで表現をしようと時間や場所など様々な条件でとらえようと試み、通常夜間の風景写真では使用しないフラッシュを使用して撮影することにより、他の看板は反応がないのに、表面に反射塗料が塗られている標識だけ白く光り情報が瞬間的に消え光で描くPhotograph(光の像)ならではの表現と言える。
 6点1組の作品は個々に展示されていながらも、作品だけが眼に映るよう工夫されたパネルを制作、丸・三角・四角などの幾何学的な図形が暗闇の中で怪しく光る標識を画面の中で配置することによって不思議な浮遊感と独特のリズム感を与えている。