• Faculty of Arts / Art Award

Landscape(2015.09.14)Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ
Landscape(2015.09.14)Ⅰ, Landscape(2015.09.14)Ⅱ, Landscape(2015.09.14)Ⅲ
青原 恒沙子(アオハラ) ヒサコ
芸術学研究科 絵画研究分野 油絵
各 F130号
平面作品 3点組 パネル、ミクストメディア

本作は、学部在籍時より絵画のシークエンス化を試みてきた青原恒沙子の総決算といえる絵画作品である。
 青原はレイヤーという言葉をスティトメントで多用するが、それは青原がドイツ留学中に通学手段として毎日乗っていた遠距離電車での体験に想を得た結果であるという。例えば、車窓から風景を眺めたとして、注視点を遠景に定めた時の、遠景の変化の乏しさ、中景の車体の速度を反映し目前を流れる風景、そしてもはや視認できないほど素早く通過する近景といった、ひとつの視界に共存する実景のレイヤー構造に、私たちは日常的に気付かされる訳だが、青原の制作は、情緒的な見え方(=記憶)の差異についても言及しようとするものである。情緒は現代では見過ごされがちな価値であるが、本作品は絵画と写真、映像とのあわいに立つ絵画作品を創出しようとする意欲的な作例として高い評価を受けた。