• Faculty of Arts / Art Award

ろんそん
山田 菜奈恵(やまだ ななえ)
美術学科 日本画専攻
181.8㎝×227.3㎝
日本画・紙本彩色
和紙、岩絵の具、膠 等

山田菜奈恵の作品「ろんそん」は、丸い玩具や人形のころがる室内に二人の女性が腰を下ろして寛ぐ室内の風景を描いたものである。画面全体は黄色い絵の具で塗り込められ具体的な描写は人物以外には判然としないものの、黄色の下から覗く描線や色彩表現は対象の存在を示すだけでなく室内の人物を包む柔らかな空気をも感じさせる。また左上部には空間を大きく取り込み登場人物の思考を感じさせる余白として効果的に用いている。必要最小限の直線、筆のタッチで処理した広がりのある画面からは程よい緊張感が生まれている。作品の題名「ろんそん」は作者の造語で、柔らかな字づらと音の響きが丸みを帯びたモチーフの形と共鳴してつけられたもののようである。