• Faculty of Arts / Art Award

12星座のギメルリング
田中 幸奈(タナカ ユキナ)

デザイン工芸学科 金属造形

シルバー925,シルバー950,K24メッキ,石 / 彫金、ロストワックス、石留め

ギメルリングとは、三つの輪が重なり1つのリングになる構造を持った指輪のことで、ラテン語の「双子」を意味する”gemini”や”gemellus”が語源とされている。その名の通り「命の結合」や「離れることのない二人」などの意味合いを持ち、結びつきの強さの象徴として中世ヨーロッパで結婚指輪として流行した。作者は、そのリングに興味を持ち、その知恵の輪のようなリングの作り方を独自の研究と試作を繰り返す中で制作方法を見出した。そのギメルリングをより個人との結びつきを強めた特別なリングに仕立て上げるために、「誕生日」「12星座」「誕生石」の3つのモチーフを構成要素に取り入れ、それらの組み合わせによって365種類のギメルリングを作ることができる提案を12星座それぞれをモチーフとしたリング12点を制作して提示している。星座をモチーフとした繊細な造形は3連のリングが重なった時に成立するように計算されており、その繊細な造形と誕生石の配置、3連リングの側面に隠されるように刻まれた誕生日付等が相俟って、一つの物語を演出している。それらのリングは、独自の研究で見出した技術とアイデアが一体となり完成度の高い作品に仕上がっている。