久保惣記念美術館蔵 「伊勢物語絵巻」 詞書第二段 現状模写
上本佳奈
造形芸術専攻日本画研究室
268mm×465㎜
楮紙、墨、岩絵具、染料、金泥、薫銀泥
紙本彩色
上本佳奈の修了制作模写作品「伊勢物語絵巻」詞書第二段 現状模写は、上げ写し技法をベースに忠実に再現し意欲的に取り組んだ作品である。
本作品は極端に色数の少ない作品で、支持体である楮紙に微妙な濃淡を慎重に吟味し実験を繰り返しながら進めた。
初めに、模写の伝統的技法である上げ写し技法を使い、原本の写真原版の上に薄い和紙を重ねて巻き上げながら、文字や図柄、シミや剥落を墨の濃淡のみで写しとった。
彩色の段階に入ると、素材の調査や作品の他の学術研究と照らし合わせながら、自作の色見本を作成し、久保惣記念美術館を訪れ原本調査を行った。当時の絵具を推察研究し、それらの顔料・染料を用いて制作した。
模写の各段階において綿密に原本画像および調査・実験資料との比較を行なうとともに、早期から学術研究を並行して進めていたことで、非常に充実した内容の模写となった。