戯
村上 明花里
芸術学研究科造形芸術専攻 日本画研究
P150号
和紙 岩絵具 膠
村上明花里さんの修了作品「戯」は、舞台美術の装置が折り重なり、抽象的な形態をとりながら色面が複雑に構成された幻想的な作品となっている。彼女なりの劇場空間の具現化が感じられる作品となった。
幾重にも垂れ下がった装飾物や電飾をモチーフに、黒や直線を効果的に使い、独特なテクスチャーをハーフトーンで構成しながら、日本画顔料を何度も塗り重ね模索し取り組んでいる。劇場の空間が持つ時間的要素と演劇の文学的な要素、観客の存在を意識的に配置し、日本画の画材を駆使した完成度の高い秀作である。