きみにみるもの
明壁 美幸 (アスカベ ミユキ)
美術学科 日本画専攻
F150 号
日本画・紙本彩色
明壁美幸さんの卒業制作作品「きみにみるもの」は、背中合わせの二人の人物が描かれた150号の大作である。二人の人物は「きみ」一人であり、外見と内面の両面を表現したものと思われる。皮膚や髪の色味を反対色にし、「座る・立つ」のポーズに差をつけることにより、日常的な題材を用いながらも心象的な表現が強く印象に残る作品となっている。
淡くモノトーンを基調とし、中心となる人物の表現は鮮やかな色彩でポイントを置き、目や口の表情にも緊張感と強い意志を感じ取ることが出来る。背景のモチーフは自転車や洋服、本棚等を巧みなバランスで画面に配置し、小気味よいリズム感で描かれている。イメージを二重三重と重ねることで、現実と空想を織り交ぜた非日常的な雰囲気を作り出している。大胆な画面の構成力とそれを裏付けるデッサン力とが評価できる秀作である。