咲かす
岡 裕香(オカ ユウカ)
デザイン工芸学科 漆造形
テーカップ H65×W100×D100(mm) 5点
ソーサー H15×W150×D150(mm) 5点
ポット H130×W220×D130(mm) 1点
磁器、漆、麻布、金粉、銀粉 / 陶胎、金継ぎ、乾漆
岡裕香は、学部3年の頃より陶磁を素地に漆を塗装する陶胎漆器を研究しており、当初より器全体に漆を塗るのではなく、磁器の質感と強度を活かしながら、デザインに合わせ部分的に漆を焼付け、磁と漆のコントラストを強調したデザイン性に富んだ独自の表現に挑戦してきました。卒業制作では、花の輪郭を前以て切取りや穴開けした磁器製ティーセットを発注制作したものに、乾漆の花を嵌め込むという金継ぎの方法を応用し、飲み口から突出した大胆な演出や、花の表裏の表現など、見た目の面白さや乾漆の柔らかな造形を活かすことに成功しています。デザインとしては、湯を注ぎお茶を淹れるポットにヒナゲシの蕾をあしらい、注ぎ入れるカップには漆の朱と金蒔絵によって、可憐ながら生命感のある花とそこから伸びた茎を、そのカップを乗せるソーサーには上面のみ黒漆を焼付け塗装し、その上に銀蒔絵の葉が表現されています。どれも実用強度を図りながら過度な加飾を控え、磁と漆の色と質感のバランスを重視したシンプルな構成となっており、使うことを考慮したデザインとなっています。タイトルにも込められているように、湯を注ぎお茶を淹れ美味しく飲むという一連の所作をイメージした演出は、使うものを楽しませる作者のユーモアと、それを可能にする技術とセンスが窺えます。