一口毛峰茶
董 蓉(トウ ヨウ)
芸術学研究科 造形計画研究分野 視覚造形
H200*D200*W200cm
茶葉、紙、インクジェットプリント、その他
「一口毛峰茶」は、中国の緑茶のリブランディングプロジェクトである。黄山毛峰茶は有名な茶葉であるが、中国における緑茶の淹れ方が複雑であることも要因の一つとなって、若い世代の緑茶離れが進んでいる。このプロジェクトでは、淹れ方や飲み方などを変えることで、そのイメージを刷新し、愛飲者を増やすためのデザインを実践したものである。
このプロジェクトは、非常に丁寧な調査を基礎としている。董蓉は、実際に中国の黄山毛峰茶の産地を訪れ、大手生産者の生産工場や茶畑を取材している。こうして、伝統的なお茶の淹れ方や飲み方を実地に学んだ上で、若者のライフスタイルにあったお茶の淹れ方、飲み方を考察した。結果として、小さなポーションを蝋燭の小さな光とともに楽しむスタイルを提案する作品が完成した。パッケージは茶畑が広がる茶山と茶屋の風景をあしらったイラストレーションが施され、中箱は、中に火を灯すと、別のイラストが浮かび上がる灯篭となっている。味、香り、に加えて、視覚的にもお茶を楽しんでもらおうというコンセプトである。なお、この最終形態に至るまでには、茶葉のパッケージの方法を含めて、様々なプロトタイプを実際に実作して、実現可能性も含めて検討が繰り返された。本作品を、食文化の継承問題にデザインの面から挑戦した優れた作品である。